TCFD提言への賛同表明
および日本テレビの取り組み

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TCFD提言への賛同表明

日本テレビホールディングスは、「国民生活を豊かなものにする」との経営理念のもと、正確で速やかな報道や質の高い映像・情報を提供すべく、歩みを進めてきました。また、「24時間テレビ 愛は地球を救う」や「Good For the Planet」キャンペーンなどを通じて、社会貢献やSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた活動に力を入れてきました。

  • 24時間テレビ
  • Good For the Planet グップラ

一方で、 気候変動問題は深刻さを増し、私たちの未来を脅かしつつあります。

日本テレビホールディングスは、2021年に「地球環境への貢献」を重要課題の1つに掲げた「サステナビリティポリシー」を発表しました。グループ一丸となって脱炭素化を目指す中で、このたびTCFD(※)提言への賛同を表明することとしました。気候変動が事業活動に与える影響について、国際的な提言に沿って継続的に開示を行い、信頼されるメディアとして責務を果たします。

持続可能な未来のため、日本テレビホールディングスは気候変動問題と積極的に向き合います。

  • TCFD
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の略称。企業等に対し、気候変動関連リスクと機会に関して「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示を推奨している。 

情報開示の全体方針

日本テレビホールディングスは、TCFD提言が推奨する枠組みに沿って、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の各項目について情報を開示し、気候変動に対するガバナンスの強化に努めるとともに、経営に及ぼす影響の把握と対策のため、リスクと機会の分析等を行っています。 

ガバナンス

サステナビリティ関連の課題への対応を推進するため、「サステナビリティ推進委員会」 (委員長:石澤顕 代表取締役 社長執行役員)を設置し、執行役員が委員として参加します。

「サステナビリティ推進委員会」(年2回開催)は、グループ各社の事業部門の責任者を招集してワーキングチームを立ち上げ、気候変動への対応策などを検討させます。

委員会はワーキングチームの提言をもとに、グループ全体の目標や計画を立てて実行に移します。また、重要事項や活動状況について、取締役会に随時報告を行い、取締役会は対応方針や実行計画などを監督します。

戦略

シナリオ分析の概要

気候変動や温暖化対策などの政策動向による事業環境の変化を想定し、当社の事業や経営に与える影響を検討しました。

TCFD提言が推奨する複数の気候シナリオでの分析として、主要事業の放送事業を行う日本テレビ放送網を対象に、1.5℃シナリオと4℃シナリオで影響を評価しました。

1850~1900年を基準とした世界平均気温の変化

IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書より
1.5℃シナリオ
温室効果ガス排出量の削減に向けた厳しい規制措置が取られ、今世紀末の時点で、世界の平均気温の上昇が産業革命前と比べて1.5℃以内に収まる想定。低炭素社会が急速に進展し、法規制や社会的要請への対応を迫られるシナリオ。 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP1-1.9シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)のNZE2050シナリオを参照
4℃シナリオ
温暖化対策が徹底されず、今世紀末の時点で、世界の平均気温が産業革命前と比べて4℃程度上昇する想定。異常気象の増加や自然災害の激甚化など気候変動の物理的影響が顕著となるシナリオ。 IPCCのSSP5-8.5シナリオ、IEAのSTEPSシナリオを参照

それぞれのシナリオにおいて、想定されるリスクと機会を検討しました。

主なリスクと機会

1.5℃シナリオ (=低炭素社会が急速に進展)

  • ◎:影響が大きい
  • ○:影響あり
  • △:やや影響
項 目 想定されるシナリオ リスク 機会 発生時期
温室効果ガス
規制強化
再生可能エネルギー価格の上昇、炭素税や排出権取引などによる事業コスト増加

日本テレビ放送網の3拠点(汐留・番町・生田)の使用電力の30%について、非化石証書などを購入して再生可能エネルギーを調達した場合→電気料金約7%増加
短・中期
番組制作コスト
の増加
規制強化や炭素税などコスト増加による価格転嫁 短・中期
設備投資の増加 規制強化による設備の省電力化でコスト増 短・中期
評 判 CO 2 削減に向けた取り組みが遅れ、視聴者・スポンサー等のイメージが悪化 短・中期
災害報道、温暖化対策キャンペーンの展開によるブランドイメージの向上 中期
視聴者の
嗜好やスポンサー
のニーズが変化
「24時間テレビ」「Good For the Planet」キャンペーンなど、地球温暖化やサステナビリティ関連コンテンツの需要が一層高まる
スポンサー企業とコラボした環境啓発番組・イベントの増加
短・中期
ライフスタイル
の変化
環境分野での新規事業の可能性 中・長期

1.5℃シナリオでは、温室効果ガスの削減に向けて企業はより厳格な対応を迫られ、炭素税導入や再生可能エネルギーの需要増加によるコストの上昇が見込まれます。

一方、気候変動に関する社会の関心が高まり、正確な情報を発信するというメディアの役割はますます重要になります。役割が不十分だと判断されれば、視聴者やスポンサーからの信頼が低下することは避けられません。また、番組制作においては、サステナビリティ、カーボンニュートラル実現に向けたコンテンツの需要が高まることが予想されます。


4℃シナリオ (=地球温暖化が深刻に)

  • ◎:影響が大きい
  • ○:影響あり
  • △:やや影響
項 目 想定されるシナリオ リスク 機会 発生時期
平均気温上昇
異常気象の増加
放送機材の強靱化に向けた設備投資のコストが増大
屋外での取材・撮影の制限
中・長期
気象情報や生活情報に視聴者の関心が高まる 中・長期
気象災害の
増加 ・激甚化
(台風・洪水・ 干ばつなど)
防災情報・災害報道のニーズが高まる 中・長期
従業員の被災リスク上昇、災害報道の困難化 中・長期
海水面の上昇 高潮による汐留本社の浸水リスクが高まる 中・長期
夏の外出時間
が減少
(在宅時間の増加)
映像コンテンツの需要が高まる
テレビ通販部門の収益拡大
中・長期
健康リスク
が増大
(熱中症・新たな感染症など)
空調コストなど従業員の健康維持コストが増加 中・長期
健康番組・キャンペーンへの関心が高まる 中・長期

4℃シナリオでは、異常気象が慢性化し、台風や豪雨による水害の激甚化、干ばつ被害の増加などが予想されます。また、夏場の気温上昇は熱中症患者の増加をもたらします。

当社は公共性を有する放送を担っており、防災や災害に関する報道機関の役割が一層求められることになります。一方で、高温下での屋外撮影によって、番組制作が制約を受ける恐れが生じるほか、放送機材に不具合が発生するリスクが高まります。放送を継続して報道機関としての責務を果たすためには、従業員の被災リスクを低減しつつ放送機材の強靱化を進めていく必要があります。

リスク管理

当社は、気候変動とそれに対する対応が経営に重大な影響を及ぼすリスクであると位置づけており、グループを挙げてこの問題に取り組みます。

グループ各社の事業部門の責任者で構成されるワーキングチームで想定されるリスクを洗い出し、年2回開催する「サステナビリティ推進委員会」の会議において、これを識別・評価します。

経営への影響の重大性や発生する可能性・時期などから総合的にリスクの優先順位をつけて、対策を立案・実行するなど適切に対応します。

また、「サステナビリティ推進委員会」が重大なリスクと評価した事項については、取締役会へ報告を行ってまいります。

指標と目標

CO 2 の排出量

日本テレビ放送網の3拠点(汐留・番町・生田)の
CO 2 排出量 [2021年度実績]

  • Scope1(事業による直接排出):986 t-CO 2 (※二酸化炭素1トンを意味する単位)
  • Scope2(電力・熱・蒸気の購入による間接排出):23404 t-CO 2
  • 2021年度は、CGS(ガスコージェネレーションシステム/自家発電システム)が更新作業で稼働を停止したため、Scope1が減少しました。
    自家発電量の減少分は電気を購入して補ったため、Scope2が増えています。
    CGSは2022年10月から稼働を再開しています。

温室効果ガス削減に向けた取り組み

  • 当社は「サステナビリティポリシー」(2021年11月策定)において、日本テレビ放送網におけるすべての電力の再生可能エネルギー比率を2030年度までに100%とすることを表明しました。
  • 番町スタジオにおいては、2019年の竣工時にLED化100%を達成しています。汐留本社においても、2031年にLED化100%を計画しています。照明のLED化とあわせて、高効率機器への設備更新を進めて消費電力を削減します。
  • 開局70年を機に、2023年3月に「日本列島ブルーカーボンプロジェクト」を立ち上げました。海水に溶け込んだCO 2 を吸収する働きがある『アマモ』の育成活動を推進します。
  • 将来的には、日本テレビグループ全体でカーボンニュートラルの実現を目指します。今後も年度ごとにCO 2 排出量を算出し、当社のHPにて開示します。